8 ことだち(イサナギ様とイサナミ様のお別れの言断ち)
ソサに来たりて 宮造り
静かに居ます キシヰ邦
橘植えて トコヨ郷
先に捨てたるヒルコ姫
再び召さる 花のもと歌を教えて
子を産めば 名もハナキネの人なりは
いざち雄叫び 敷き蒔きや
世の隈なせば 母の身に
捨てどころなき世の隈を
吾が身に受けて諸民の 欠けを償う
御クマノの御山木焼くを除かんと
生む火の神の カグツチに
焼かれてまさに 終わるまに
生む土の神ハニヤスと 水ミツハメぞ
カグツチとハニヤスが生むワカムスビ
首は小桑に 臍は稲 これウケミタマ
イサナミはアリマに納む
花と穂のときに祀りて
ココリヒメ 輩に告ぐる
イサナギは 追い行き見まく
ココリヒメ
「君これ な見ぞ」
なお聞かず
悲しむゆえに来たるとて
ゆづのツゲ櫛 おとり歯を
た火とし見れば 蛆たかる
否や醜めき汚きと 足引き帰る
その夜また神 行き見れば
「かな真 入れず恥見ず 吾が恨み」
醜女八たりに追わしむる
剣振り逃げ 葡萄投ぐる
醜女取り喰み さらに追う
竹櫛投ぐる これも神
また追いくれば 桃の木に
隠れて桃の実を投ぐる
てれば退く
葡萄ゆるく 櫛は柘植よし
桃の名を「大神つ実」と
イサナミと黄泉つ辺境 言断ちす
イサナミ曰く
「麗しや かく成さざらば
千頭を 日々に縊らん」
イサナギも
「麗しや吾 その千五百生みて
過ち無きことを 」
守る黄泉つの辺境は
生き絶ゆる間の かぎり岩
これ霊返しの神なりと
悔やみて帰る元つ宮
否醜めきを 濯がんと音無川に禊して
八十曲がつ日の神生みて
曲がり直さん 神直日 大直日神
生みて身を 潔ぎよくして
9 みちびきの歌(イサナギ様の決意と枕詞)
天地君よ 別れ惜しくと妻送る
夫(追う人)は行かず行けば恥
醜女に追わす 善し悪しを
知れば足引く黄泉つ境
言断ち裂くる器あり
禊に民の調いて 弥真斗通る
足引きの千五百の御田の
瑞穂なる真斗の教えにカカンして
ノン天地国はデン弥真斗
引きて明るき葦原の歌も悟れよ
真斗の通らぬ前の足引きの
枕詞は歌の種
足引きはヤマ ほのぼのは明け
ヌバタマは夜の種
シマツトリの鵜
オキツトリ鴨と船なり
この味をヌバタマの夜の歌枕
覚めて明るき前詞 心を明かす歌の道
禊の道は身を明かす
弥真斗の道の大いなるかな
10 みちすけの歌(アマテル大御神の岩室隠れ)
天が下柔して巡る日月こそ
晴れて明るき民の父母なり
ソサノヲは岩を蹴散らしなお怒る
君恐れまし岩室に入りて閉ざせば
光闇もあやなし
ヤス川の闇に驚くオモイカネ
松明に馳せ 子に問いてタカマに議り祈らんや
ツワモノヌシが真榊の 上枝は瓊珠
中つ枝にマフツの鏡 下和幣 掛け祈らんと
ウズメ等に日陰(蔓)を襷 粽鉾
朮を庭火 笹湯花 神蔵の戸の神篝火
深く議りてオモイカネ
常世の踊りナガサキや 技おき歌う。
橘の木 枯れても匂ゆ 萎れても良や
吾が夫アワ 吾が夫アワや 萎れても良や
吾が夫アワ
諸守は祝戸の前にかしまどり
これぞ常世のナガサキや
君笑み 細く伺えば
祝戸を投ぐる タヂカラヲ
御手取りい出し 奉る
ツワモノヌシが しめ縄に な返りましぞ
しかる後 タカマに図り
ソサノオの 咎は千坐の三キタ枯れ
髪抜きひとつ 爪も抜き まだ届かねば
殺すとき ムカツ姫より清勅使に
ウケモノ祈り甦えす ハナコの四百サ
償のえば 清禍を明かせよ
ソサノオが仕業は 血族の虫なれど
清禍なく恙無からんやわや
詔を 諸が図りて天もどる
重きも血族の半ば減り
交わり去るとスガサアヲ
ヤエハイ求む下民の放浪やらいき
大御神 知ろしめされば天照らす
人の面も 楽しむに ミチスケの歌
あわれ あなおもしろ あなたのし
あなさやけ おけ さやけ おけ
あわれ おもしろ
さやけおけ あなたのし
天晴れ あな面白 あな楽し
あな清気 汚気 清気 汚気
天晴れ 面白
清気 汚気 あな楽し
相ともに 手を打ち述べて歌い舞う
千岩谷震るとぞ楽しめば
これ神蔵に
天照らす大御神なり
11 サツサツヅ歌(ハタレ退治のまじない歌)
ハタレ魔の ハルナハハミチ
野も山も 変えて叢雲
炎吹き 棘矢のあられ 鳴神に
味方帰れば 大御神
かねてサツサにウタミ付け
投ぐれば治しむハタレ魔を
サツサツヅ歌
流浪でも ハタレも鼻息 三つ足らず
カカンなすかも 手立て尽き
かれノンテンも 天に効かず
日月と吾は 天地も照らすさ
諸歌う ハタレ怒りて矢のあられ
神の手印に矢も立たず
いや猛け怒り火花吹く
神ミツハメを招くとき
炎消ゆれば胸騒ぎ
逃げんとするを タヂカラオ
ハタレハルナニ飛びかかり
力争い 押し縛る ハタレ魔もみな
取り縛り 前に引き据え 垂れ上ぐる
君 「八尺瓊の勾玉」
セオリツは「マフツ八咫鏡」
アキツ「草薙八重剣」
ときにイブキド故を問う
ハルナ答えて僕に 根の益人が教えけり
功しならば邦つ守 これソサノヲの詔なり
ときにイブキド マフツなら
鑑みんとて 御鏡に
写せばふづく翼あり
イブキド曰く このハタレ鵺脚持ちぞ
化け技に たぶらかす者 皆斬らん!
ときにクスヒがクマノ神
招けばカラス 八つ来たる
ここにハタレの霊を絞り誓い留めて
潮浴び 影映すとき 六十万たり人なるは
みな民となる
サすらでも はたれもはなげ
みつたらず かかんなすかも
てだてツき
かれ のんてんも あにきかず
ひつきと我は あわも照らすサ
かかんのんてん かかんのんてん
かかんのんてん かかんのんてん
12 オロチ退治(ソサノヲとイナダ姫の出会い)
粗金の 土に落ちたる放浪男の
天の畏れの簑笠も 脱がで休まん
宿もなく 地にさまよいて咎めやる
摺りやわごとに辿りきて
ついにネの邦サホコなる
弓削の祖師守 ツルメソが宿に
つぐむや 血脈の虫
サタのアレ長 アシナヅチ
ソヲのテニツキ 八女産めど
生い立ち枯ぬる悲しさは
ヒカワの上のヤエ谷は
常に叢雲たち上り
ソヒラに茂る松榧の中に
八岐のオロチいて
ハハヤカガチの人身御供と
恙せられるる
七娘 残る一人のイナダ姫
これも喰まんと 両親は
手撫で足撫で 悲むとき
ソサの尊の 神問いに
明らさまにぞ 答えけり
「姫を得んや」と いや問いに
「御名は誰ぞ」と うら問えば
「天の弟」と顕れて
契りを結ぶ イナダ姫
病める炎の 苦しさを
袖脇裂きて風いれば 炎も冷めて快く
童の袖の 脇開けぞ
姫は弓削家に隠しいれ
ソサはやつ身の姫姿
ゆずのつげ櫛 髷に刺し
山の桟敷に八搾りの酒を醸して
待ちたまう 八岐頭のオロチきて
八槽の酒を飲み酔いで
眠るオロチを つたに斬る
ハハが尾先に剣あり
ハハムラクモの名にしあう
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