1 それわかは(ホツマツタヱの冒頭)


それわかは ワカ姫の神

捨てられてヒロタと育つ

カナサキの妻の乳を得て

あわうわや 手打ち潮の目


生まれ日は 菓子御食供え

立ち舞や 三冬髪おき

初日餅 天地の敬い

桃に雛 菖蒲に粽

棚機や 菊栗祝い

五歳冬 男は袴着る 女は被衣

言葉を直すアワ歌をつねに教えて


あかはなま いきひにみうく

ふぬむえけ へねめおこほの

もとろそよ をてれせゑつる

すゆんちり しゐたらさやわ


アワの歌 カダガキ打ちて 引き歌う

おのづと声もあきらかに


五臓六腑緒 音声分け

二十四に通い四十八声

これ身の内の巡りよく

病あらねば永らえり

スミエの翁 これを知る


あかはなま いきひにみうく

ふぬむえけ へねめおこほの

もとろそよ をてれせゑつる

すゆんちり しゐたらさやわ


おのづと声も明らかに

五臓六腑緒 音声分け

二十四に通い 四十八声




2 穂虫の祓い(厄災を祓う三十二音の歌)


しかるのち イサワの宮に侍るとき

キシヰの稲田 穂虫に傷むを嘆き

ある形 告ぐるイサワの大御神

アマのマナイに御幸あと民の嘆きに


ムカツ姫 急ぎキシヰに行きひらき

田の東に立ちて 御仕草に仰ぐ

ワカ姫 歌詠みて 祓い給えば

虫去るを 三十女を両手に佇ませ

各々共に歌わしむ稲虫祓う 和歌の呪い


たね はたね うむすぎさかめ まめすめらの

ぞろはもはめぞ むしもみなしむ


種 葉種 大麦小麦 角豆 大豆小豆等の

稲葉も喰めぞ虫も皆鎮む


繰り返し 三百六十歌いどよませば

虫飛び去りて 西の海

ざらり虫去り 穢を祓い 

やはり若やぎ甦える 稲に実りて

ぬばたまの世の糧を得る御宝




3 まわり歌(前から読んでも後ろから読んでも同じ歌)


ワカ姫の心を留む タマツ宮

枯れたる稲の 若返る

ワカの歌より和歌の国

タマツの勅使 アチヒコを

見れば焦がるるワカ姫の ワカの歌詠み

ウタミ染め 思いかねてぞ勧むるを

つい取り見れば


「きしいこぞ つまおみぎわに ことのねの 

とこにわぎみをまつぞこいしき」


床に吾君を待つぞ恋しき


思えらく橋架けなくて結ぶやわ

これ返さんと帰らねば

言の葉無くて 待ちたまえ

後返さんと持ち帰り

タカマに至り諸に問う


カナサキ曰くこの歌は

返え言ならぬ回り歌

吾も御幸の船にあり

風激しくて波立つを

打ち返さじと回り歌よむ


「なかきよの とおのねふりの みなめざめ

なみのりふねのおとのよきかな」


波乗り船の音の良きかな


ワカ姫の歌も雅を返さじと

申せば君の詔

カナサキが船乗り受けて

夫婦なるなりヤス川の

シタテル姫と 末永く




4 とこみき(床神酒 ウヒチニ様とスヒチ様の結婚式)


真榊の植え継ぎ五百に満つる頃

世継ぎの男神ウヒチニのスヒチを入るる

最愛の その元おりは

コシ邦のヒナルの岳の神宮に

木の実をを持ちて在れませば 庭に植え置く

三歳のち弥生の三日に花も実も

百なるゆえに モモ(桃)の花


ニ尊の名もモモヒナキ モモヒナミなり

雛はまだ人なる前よ キミはその

木の実に依て 男神は「木」女神は「実」とぞ

名付きます


成人なる後に弥生三日

神酒造り初め たて奉る

桃下に汲める神酒に月 映りすすむる

女尊まず 飲みてすすむる 後男尊

飲みて交わる床の神酒


身熱ければや 明日三朝

寒川浴びる 袖ひちて

ウスの煮心 またぎとて

名もウヒチニとスヒチ神


これも泥煮る 古事や

大き少なきウスの名も この雛形の

男は冠 大袖 袴

女は小袖 上被衣なり

この時に みな妻入れて

八十続き 諸民もみな妻定む



5 あなにえや(イサナギ様イサナミ様の天のアワ歌)


トヨケ大神 フトマニを味わえ曰く

五・四の歌 事を結ばず 

言挙げも女は先立てず

トツギとは 雌のニハナブリ 

尾揺れ鳴く 雄鳥鳴き去る

またある日 雄鳥装ふ

雌が知りて 相交われば


天よりぞ鳥に告げしむトツギ法

さらに帰りて 二神は 新たに巡り 

男は左 女は右巡り相歌う 

天のあわ歌


「あなにえや うましおとめにあいぬ」

時 女神応えて

「わなにやし うましおとこにあいき」

とぞ柔して天地を胞衣として 


ヤマトアキツス アワヂ島

イヨ アワ 二た名

オキ三つ子

ツクシ キビノコ

サド大島


生みて海川山の幸

木祖ククノチ カヤの姫

ノヅチも成りて あわ歌に

治むハラミの宮に居て


すでに八州のクニ生みて

いかんぞ君を産まんとて

日の神を生む

その御名を 大日霊貴とぞ称えます。


国麗しく照り通る

貴し日霊の子は留めずと

天に送りて天の貴と

御柱の道 奉る

彼にハラミを大日山 トヨケが変えて

日の神に「ワカヒト」と齊名を捧ぐ




6 むべなるや(アマテル神の誕生の言祝歌)


二十一鈴 百二十五枝 年キシヱ初日

ほのぼの出づる時 共に現れます

御形の 円の卵 訝しや

大祖翁のヤマスミが 言祝ぎ歌う


むべなるや ゆきのよろしも みよつぎも

よよのさいわい ひらけりと


むべなるや 幸の宜しも 御世継ぎも

代々の幸い開けりと


おぼ夜すがらに 言祝ぐも 

三度におよぶ幸宜し


人の問わしの答えにも 

トヨケの神の教えあり

障るイソラの禊にて 胞衣の囲みは

オノコロの卵とならば幸よろし


珠の祝戸を開けとて イチヰの花の笏持ちて 

今こそ開く 天の戸や出づる若日の輝きて 

アマテル神の現れませる


シラヤマ姫は産湯なす

アカヒコ桑に引く糸をナツメが織りて

産衣の御衣 奉る


天にたなびく白雲のかかる

八嶺の降る霰 日隅に木霊

この瑞を 布もて作る八豊幡

八隅に立てて 君となる


むべなるや ゆきのよろしも みよつぎも

よよのさいわい ひらけりと


くり返し




7 そふきさき(アマテル神の十二人のお妃)


二十一鈴 百二十六枝 年サナト

弥生一日 日の山麓に新宮造り

天皇子は ヒタカミよりぞ遷ります


御二尊 縁女を御言宣

カンミムスビのヤソキネが 諸臣と議りて

クラキネのマス姫モチコ 北の典と   

その妹ハヤコ コマス姫 北の内侍


ヤソキネのオオミヤミチコ 東の典に 

タナバタコタエ 東の内侍


サクラウチが娘

サクナダリセオリツホノコ 南の典に

ワカ姫ハナコ 南の内侍


カナサキが娘の ハヤアキツ アキコは

シオノヤモアイコ 西の典

内侍は ムナカタがオリハタオサコ


乙下女はトヨ姫アヤコ

カスヤが娘 イロノエアサコ 南の乙下女

カダがアチコは 北の乙下女

ツクバハヤマがソガ姫は 東の乙下女ぞと


月に寄せ皇子は天日の位宣る

日の山の名も大山ぞ

かれ大山麓 日高見の安国の宮


東西南北の局は代わり宮仕え

その中一人素直なる 

セオリツ姫の雅には君も階段 

踏み降りて天下がる

日に向かつ姫 ついに入れます内宮に


カナヤマヒコがウリフ姫

ナガコを典に備えしむ。

これお 暦の閏月 皆機織りて操立つ


アマテル神の十二妃なり